映画の終わり方

ビリー・ワイルダーの「アパートの鍵貸します」を観た。感性豊かなジャック・レモンと慎ましげなシャリー・マクレーンの恋物語は、観る者をあっという間に映画世界に引きずり込む。そして軸となるワイルダーの脚本は見事しか言いようがない。今観ても色あせることのない名作中の名作だ。

だが、映画を見終わって振り返った時に、どうも最後の終わり方がしっくりこない。あまりにも綺麗過ぎるハッピーエンド。自分だったら、どう終えるのか考えてみた。映画がどうやって終わるかは一番気になるところ。料理で言えば後味。例えば、最後のシーンでシャリーがジャックのアパートに着いた時に銃声のような音が聞える。もしやと思い慌ててドアを開けるとその音がシャンパンを開ける音だったことが分かり、ひと安心する。そこで終わるのはどうか。つまりは、ハッピーエンド前の寸止めである。ハッピーエンドに二人が幸せそうに過ごす姿を見せられても、いまいち面白くないのである。ハッピーエンドの最後は自分が想像した方が面白いのではないかと思う。「パンッ」という銃声のような音が聞こえ、もしやと思って慌ててドアを開ける。するとシャンパンを持ったジャックが笑顔で立っている。もしやがひと安心に変わる… 終わり 後は抱擁するも、接吻するも、ベッドインするも、全ていいのだ。いろんな想像が膨らむ。